2000.06.10

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看護師がクラスター支援で感じる「命の選別」

空飛ぶ捜索医療団”ARROWS”の看護師として活動をしている甲斐さおりです。
私はこれまで、クラスターが発生したいくつかの施設や精神科病棟へ支援に入らせて頂きました。
その現場で見たこと、感じたことを皆さまにお伝えしたく、この文章を執筆しております。

私が支援に入った福祉施設には認知症の方が多く入所されていました。
認知症の方は、徘徊があることからゾーニングが難しい場合が多くまた、食事や排泄、更衣など日常動作において介助が必要な方の場合、マスクの常時着用も困難です。

また、精神科内におけるレッドゾーンの患者(ほとんどの方が統合失調症)の方々も、「便が出た」とオムツを外した状態で廊下に出てきたり、唾を床に飛ばしていたり、何か叫んでおり、マスクの常時着用は困難な状況でした。

また、どの施設でも誤飲の危険性があることから、廊下に消毒液を置くことは不可能でした。

認知症や精神科患者の共通点は、病床が逼迫している場合、
病院がコロナの患者を受け入れてくれない場合が多いということです。

精神科の場合は、そもそもそこが病院であることから患者が亡くなるまで、精神科の看護師がケアをしなくてはいけません。
もちろん、精神科の看護師も他の病院や施設と同様に、コロナ患者の看護に関して全く素人です。
そもそもレッドゾーンに入れる看護師が不足しているため、苦しそうでも酸素投与でしか対応できずに「患者の命を繋ぐ」ことで精一杯でした。

そして、何よりも、福祉施設や精神科病棟には、十分な酸素の中央配管がなく、大きな酸素ボンベをベッドサイドに置いていましたが、その交換も大変そうでした。
モニターもなく、夜勤の巡視時に亡くなっていた、というケースも多かったです。

「命をつなぐ」というケアの優先順位から考えると清潔ケアを行うことは困難であり、実施されてませんでした。
それに比べて、大阪コロナ重症者センターは、1人1人の患者が、本当に手厚いケアを受けていました。

各地の支援を通して、私はすでに、命の選別が始まっていると思いました。

「認知症や精神科の患者が、コロナで亡くなっても仕方がない」と、行政側が諦めていると、この状況の改善は難しいです。
次の感染の波に備えて、こういった社会的弱者の方々やその方々を介護、看護するスタッフに、ワクチンを打つことが、考えられる最善な解決案です。

私たちの支援活動は「スタッフへの新型コロナウイルス感染対策の指導」でした。
コロナが日本で流行り始めてから、1年以上経過していますが
支援先で活動をしている中で驚いたことは、過去にクラスターが発生した施設や病院のノウハウが発生していない他施設や病院に共有がされていないということです。
この現場を目の当たりにし、外部支援の経験が豊富な私たちの活動は非常に重要なものとなり、支援後は確実にクラスターが収束していきました。

さらに、クラスターを収束させるためには、「人手不足の解消による休養」と、生活の保障(お給料の底上げ、保障)、コロナの感染状況が落ち着いている時に、介護や医療スタッフのために感染対策にいついて学ぶ機会が必要だと思います。

現在、空飛ぶ捜索医療団を運営するピースウィンズ・ジャパン(PWJ)では、福祉施設対象に無償で教育システムを提供しています。

●【福祉施設対象】新型コロナウイルス対策 個別相談会 ~ 無理なく続けられる効果的な感染症対策を徹底サポートします:https://peace-winds.org/news/19597

●【福祉施設対象】新型コロナウイルス対策 高齢者・障がい者福祉施設向けの悩みに、AIがお答えします:https://peace-winds.org/chatbothttps://peace-winds.org/chatbot

病院でも、コロナについての勉強会は開催されていると思いますが、それぞれの病院の自主性に任されているのが現状です。
そして、一般の方は、テレビやネットが情報源になっており、それぞれの専門家が異なる発信をしていて戸惑っていると思います。

現場を知っている私たちが今後も支援を継続しながら、リアルな現場の様子や情報を発信していくことが大事だと日々感じています。
一人でも多くの「救える命を救う」ために私たちは現場へ支援を届けていきます。
引き続き、空飛ぶ捜索医療団”ARROWS”へのご支援・応援をよろしくお願い致します。

新型コロナウイルス緊急支援を継続していくために、クラウドファンディングを開設中です。
今、「救える命を救う」ために私たちとともにできることを。あなたの力を貸してください。
クラウドファンディングページはこちらから:https://readyfor.jp/projects/cluster

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