日本に住む私たちは、災害と常に向き合うことが求められています。
ひとりでも多くの方に支援を届けるため、ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が運営する「空飛ぶ捜索医療団(緊急災害緊急支援プロジェクトARROWS)」では、かねてよりヘリコプターや車両、飛行機などを活用してきました。
一方で、今後の大災害への備えとしては、陸路が寸断されることも想定され、より高度な災害対応が求められます。
私たちは、長大な海岸線をもつ日本列島の性質が、弱点ではなく災害対応への強みとなると考えました。
また、新型コロナウイルスの猛威はいまだに衰える気配を見せず、私たちの社会はさまざまな挑戦を強いられています。
PWJではこれまで、医療物資の配布や医療チームの派遣、高齢者福祉施設向けの研修などを通して新型コロナウイルスに立ち向かってきました。
今後も予想される感染拡大に備え、海路で移動可能なモバイルラボ(PCR検査設備、簡易医療機器など)の導入を目指します。
検査体制が窮迫する場所に船で赴き、地域医療システムの一助となることで新型コロナウイルスによる影響を低減します。
災害を専門に対応する民間初の災害対応医療船を整備し、いずれ来る大災害への対応を一歩進めたいと思っています。
陸路が寸断されるような大災害でも、海から被災地にアプローチし支援活動を行います。大規模災害時の急性期には、重症軽症患者を振り分ける広域搬送医療拠点(Staging care unit)として医療チームのサポートを行います。
また、事前に備蓄された物資をいち早く輸送します。発災後しばらくは被災地にとどまり、避難所での急病人への対応や、支援者の拠点として運用します。
モバイルラボとして船内に医療機器を設置します。通常の血液検査に加え、新型コロナウイルス感染が懸念される中では、PCR検査機器を船で運搬ないし船内に準備することで、感染集積地の検査体制のサポート、被災地入りする災害支援団体への提供や、密となる傾向がある避難所での検査に活用できます。検体の輸送手段がなくても、その場で検査結果を確認することが可能になります。
災害がない期間には、より高度な災害対応を行うための訓練や準備を重ねるとともに、子どもたちに防災と海について学び考える機会を提供したり、防災啓発の拠点としての活動を行います。
災害対応医療船にかける思いについて、空飛ぶ捜索医療団リーダー・医師の稲葉からのメッセージをお届けします。