JOURNAL #262021.09.24

一頭の犬の物語に出会い、人と犬の命を救う救命活動の道へ。

救助犬ハンドラー:松上 幸平

今年4月よりピースウィンズ・ジャパン、空飛ぶ捜索医療団で災害救助犬ハンドラーとして勤務しております松上幸平と申します。
新しい環境で忙しくも充実した日々を過ごし、あっという間に半年が経とうとしています。

この仕事に就く前は、航空機からパラシュート降下をし作戦展開する陸上自衛隊第一空挺団後方支援隊衛生小隊を原隊としていました。
有事の際、前線で負傷した隊員を砲火の中、後方に引きずり出し、緊急救命処置を施す第一線救護衛生員、俗に言う衛生兵として20人程度の小隊の指揮を補佐しつつ、救急救命士及び准看護師としても16年間従事してきました。

幸いにも磨き続けた刀は行使することはなく、平和な日々が過ぎ去り人生の折り返し地点に立った時、一頭の犬の物語と出会いました。

人間の世界にはない悲劇が犬の世界で今なお続いていること、そして、それを食い止めるべく身を粉にして戦っている人々の存在を知りました。
その瞬間「俺の戦うべきところはもっと他にある」、ただの犬ズキではありますが「これまで鍛え培ってきたもの、自分の命をそこに捧げたい」と強く感じ、コロナ禍ではありますがこの世界に飛び込みました。

犬の世界は人間の世界と違って言葉によるコミュニケーションもなく、独特な世界の洗礼を受け、戸惑いながらも楽しい毎日です。
今度は戦場から負傷者を引きずり出して救出するのではなく、鍛えた肉体と魂をもって殺処分施設から一頭でも多くの犬を引き出し、人間よりも圧倒的に短い一生の中で、社会の誰かに愛されたり、癒したり、もしくは人の命を救えるような存在として生まれ変われるきっかけや、社会づくりに少しでも力になれたらと思っています。

空飛ぶ捜索医療団では、ハンドラーとしてだけでなく、昨今の新型コロナウイルス感染症の対応でひっ迫した医療施設等に対し、看護師として支援活動にもあたることもできました。

ドッグトレーニングの世界では、現場で救急救命行為を行うハンドラーは異例の存在として受け入れられ難いかもしれません。
ですが、これまでの拙い経験を、素晴らしい精神性を持つメンバーで編成される空飛ぶ捜索医療団で補完し、信念をもって犬や人のために現場活動ができるレスキュー隊員になれるよう、自分に厳しくも、いつまでも素直な気持ちと謙虚な姿勢を忘れずに、日々精進していきたいと思います。

WRITER

救助犬ハンドラー:
松上 幸平

ピースウィンズ・ジャパン 空飛ぶ捜索医療団 災害救助犬ハンドラー兼救急救命士・准看護師。
学生時代はボート競技で全国大会出場。大学卒業後は営業職をはじめ、多くの職場を経験した後、陸上自衛隊で第一線救護衛生員として勤務し、2021年に現職。兵庫県洲本市出身

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